相互不理解が不毛な会話を生む
❖ ある面接での出来事
「〇〇君、その考え方さっきの発言と矛盾してない?」ある学生が面接で面接官から言われた言葉です。皆さんならこの面接官の発言に対してどのように答えますか?
この学生は、自分の発言に矛盾はないと考え、矛盾してないということを説明をしたそうです。でも、面接官には理解してもらえなかったようです。その学生にもう少し訊いてみました。「面接官が矛盾していると言ったのは、なんでなのかな?」答えは「わからない」でした。「ということは面接官の考え方が理解できなかったということ?」と訊くと「理解できませんでした」と答えてくれました。「どうして理解するために、どこが矛盾しているか聞かなかったの?」という問に関しては「面接中に訊いてはいけないと思ったんです」との答え。
さて、この面接は双方にとって有意義なものだったのでしょうか。お互い理解せず会話が進んでいく。理解していないので会話がすれ違う。不毛な面接だと私は思うのですがいかがでしょうか。
面接官に対し、どこが矛盾していると感じたかを訊き、理解する。その理解したことに対して同意する、もしくは、自分の意見を言うなどの方法をとっていれば、お互いにとって納得いくものになったのではないかと考えます。
❖ ある面接練習での出来事
またある時、彼と面接練習をしているときに沈黙の後、困った顔をしらながら語った「社会貢献したい」と返答してきたことがあります。私はその表情に「本音ではない」「取り繕っている」と感じました。そこで、面接練習を中断して「本当はそう思ってないよね」と訊いてみました。その時の彼の答えは「私の言い方が悪かったです」「だから、伝わらなかった」というのです。「どこが悪かったの」と訊くと「わからない」との答え。「なぜ、本当はそう思っていないと私が言ったのか理解している?」と訊くと「理解していません」とのこと。
さて、この面接練習は彼にとって有意義なものだったのでしょうか。お互い理解せず会話が進んでいく。理解していないので会話がすれ違う。不毛な面接練習だと私は思うのですがいかがでしょうか。
彼は私の考え方に同意する必要はないと私は思います。私の考えを理解したうえで、違うと思ってくれるのであれば、それはそれです。しかし、理解出来ていない段階で「私の言い方が悪かったです」というのは、指導しようとしている私にとって、むなしい返答です。彼にとっても、理解できなかったという事実が残るだけで、何の利益もない時間だったのではと思うと、私は責務を果たせなかったという気持ちで申し訳ない思いです。
❖ 理解することの大切さ
理解するまで訊き、理解するまで聴くことの大切さを理解して欲しいと思い、その後も彼とは話し合いを続けました。理解してくれていることを祈ります。
相手を理解しようとする気持ち。分かり合うことで協力し合い前に進む気持ち。自分では持っているつもりなのですが、時に自分のせい、時に相手のせいにしてしまいシャッターを下してしまっていることに気付いてほしいと心から思います。
理解するまで聴き続ける。理解したいと心から思う。私もなかなかできないのですが、その心を持ち続けることが、成功を創るものです。