「ハイ」というのは素直じゃない!!
❖元気な「ハイ」は気持ち良いけど...
講義をする中で学生に「わかった?」と聞くと、多数の学生は元気に「ハイ!」と答えてくれます。このときにいつも私が言うセリフがあります。「ハイというのは素直じゃない!素直になれ!」です。講義中に何回も言っているので、最近はそのセリフに対してハッとした顔をしてくれますが、最初は「このおっちゃん何言っているんだ?」という顔をしていました。
私は素直を「受け入れること」と定義しています。もう少し細かく言うと「自分を受け入れること」「相手を受け入れること」「環境を受け入れること」の3つになります。もし、学生が「相手を受け入れること」を徹底した素直な人間だったとしたら「わかった?」という問いかけに対してどのように答えるでしょうか。受け入れる前提として相手を心からわかりたいと思う気持ちがわくはずです。とすると返しは確認になると思いませんか。「おっしゃったことは〇〇ということですよね」「〇〇という風に理解したのですが、それでよろしいでしょうか」など自分がきちんと理解していることを確認して、考えが正しいということが分かった時点で「ハイわかりました」と返事をすることが「受け入れること」つまり「素直さ」になっていませんか。これであれば、学生にとってだけではなく、私にとっても理解が確認でき、気持ちよくかつ着実に講義の目的を果たすことができます。
❖面接でよく見る「ハイ」の使用法...
就職面接の時にも同じです。緊張のあまり質問に対して「ハイ」だけで返す学生がよくいるのですが、面接官にとっては心のシャッターを下ろして「聞かないでください」と強く言われている気分になります。
自己PRで努力を語った学生に対して次のように聞いてみたとします。
「努力したんだね~」
「ハイ」
「それを行っているときつらかったですか」
「ハイ」
「チーム全員がそのような努力をしていたのですか」
「ハイ」
「そうなんですか。良いチームですね」
「ハイ」
「・・・」
いかがでしょうか。ここまでハイだけで返す学生はまれですが、面接官として何を聞いてよいかわからなくなってしまいます。
❖面接官と分かり合いたいと思ってほしいな!!
面接官に対しても同じです。面接官の質問に対しきちんと意味を分りたいと考えて察することが出来れば、このような返し方にはならないと思います。何を意図しているかを察することが出来れば返し方にはバリエーションが出ます。例えば、自己PRを語った後に面接官が「努力したんだね~」と言ってくれたとしたら、面接官の心の中は「君の努力わかるよ」「素晴らしいね」あたりではないでしょうか。回答としてはその努力をもう少し掘り下げて「努力は欠かしませんでした」「毎日、続ければ必ず目標を達成できると考えて1日も休まず頑張っていきました」と自分の考えを話すことで、より分かり合えるというものです。
また、質問の意図が分らなかった場合でも「努力しとたんだね~」に対し「ありがとうございます」「毎日続けたことが、自分にとっては一番の努力だったのですが、そこを評価して頂けたのですか?」と返しても良いでしょう。
人間関係の中では「心から分かりたい・理解したい」と考えて行動するようにしてください。相手を心から理解したいという気持ちは相手のオープンハートを創り、良いコミュニケーションのきっかけとなります。それが、面接で効くだけではなく人生が豊かになります。そのような、コミュニケーションでわかり合う人間関係をたくさん創ってくれることを祈っています。