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他人の「オープンマインド」を引き出す


利他の気持ちがオープンマインドを創る

コミュニケーション能力の根幹にある素直さについては先日お話ししましたが、「受け入れる力=素直さ」だけではコミュニケーション能力があるとは言えません。自分から発信する「伝える力」も重要になります。受け入れる力を駆使することで相手のオープンマインドを引き出すことが伝える第一歩です。その上で伝えるために必要なことは「利他」(自分の利益ではなく他の利益、もしくは全体の利益)の精神です。

特に仕事をするうえではこの精神が必要です。仕事はチームで一つの目標に向かっていくことです。「チームを目標に向かわせたい」「チームの力を向上させたい」という気持ちで伝えていかないと誰の心にも響きません。伝える目的は他の人達を動かすことですから、目的を達成するためには他人の為を考え動くこと(利他)が重要になります。さらには、お客様など仕事で関わる全ての人や団体(ステークホルダー)に対しても同じです。自分の利益(利己)で伝えても、誰も相手にしてくれないのは自明の理(あれこれ説明する必要のない明白な道理)です。

利他の心を使ったコミュニケーション 学生にコミュニケーションの話をするときに、今まで私が働いてきた中で、この人についていきたいと心から思ったある校長先生のことを例に出すことが良くあります。この校長先生はいつも学校に一番最初に登校し、すべての教室の鍵を開けていました。ある日、朝までにやらなければいけない仕事があったため、いつもより2時間程度早く行きました。私は学校の鍵を持っていなかったため、学校の前で校長先生が登校するのを待って、一緒に学校に入りました。いつも、校長先生がまるで用務員さんのように、すべての教室を開けていることを「申し訳ない」と思っていたこともあり、校長先生に「今日は私が鍵を開けます。」と鍵を校長から預かろうとしました。この時、校長先生はこのようにおっしゃいました。 「〇○先生は仕事があるから早く来たのですよね。私は学生のために何かできることがないか考えて、朝勉強をしたいと思っている学生のために、早く来て教室を開けています。そして、それは私の仕事と考えています。〇○先生は〇○先生の仕事を行ってください。私は私の仕事をしますから。」 と言い、にこやかに笑顔を見せた後、教務室を出て鍵開けに行ってしまいました。「本気で学生のこと、我々教員のことを思っているから出てくる発言だ」と感じ、私は感動し、この先生についていきたいと心から思いました。今までも感じてはいたのですが、校長先生の考え方がわかった瞬間であり、絶対にこの人と分かり合いたいと思った瞬間でもありました。心から「利他」で話している人には、このような感情が湧くものです。伝えるためにはこの「利他」の精神が絶大な威力を発揮します。 校長先生の例でも分かるように、コミュニケーションは言葉だけでするものではありません。校長先生は鍵を開けるという行動を通して、私とコミュニケーションを図りました。皆さんも部活などで「率先して動くこと」「真剣に練習に臨むこと」などで後輩を教育して、部をまとめていったことはありませんか。それは行動でのコミュニケーションの一例です。

コミュニケーションは口だけでするものではない

​しゃべることが上手い人が、社会人として、コミュニケーション能力が高い人でないことを知ってください。しゃべることはコミュニケーションのごくごく一部であり、それよりも「聴くこと」(受け入れること)の方が大切です。さらには「行動を通して示すこと」もコミュニケーションでは重要なファクターであり、コミュニケーションの根底には「利他」の精神が必要になります。

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