テクニックやノウハウだけでは成長はない
❖「やりもせんに」という気持ちが成長を創る
「やりもせんに」本田技研の創始者本田宗一郎の口癖だったそうです。昭和の時代の言葉ですが、正解のある仕事がコンピュータに取って代わり、社内に残った単純作業はアウトソーシングされ、正社員が取り組む仕事は正解のないチャレンジングな精神が必要なものが中心になっている今の時代のためにある言葉だと思います。
私もこの言葉を心に刻みながら、いつも仕事に取り組んでいます。どうすれば、企業が欲しがる人財を輩出できるのだろう。あの手この手で学生にアプローチしているわけです。これは、私の職業が特殊なわけではありません。営業しかり、販売しかり、広報しかり、技術しかり、企画しかり...頭脳労働で給料をもらうためには挑戦し続けるしかないのです。
❖テクニックやノウハウに走る学生の不幸
でも、「そんな役に立つかどうかわからないことやっても無駄だ」「どうすれば上手くいくかノウハウを教えて」と言ってくる学生がいます。テクニックやノウハウでその場を乗り切ることが労力が少なく成功に近づく方法と考えている学生です。たまに上手くいくと、そのノウハウが武器になると考えて満足します。同じシチュエーションなんてほとんどないのに…大事なのはノウハウではなく「なぜ成功(失敗)したか」なのに…世の中、まるで数式のような公式だけで渡れるほど甘くはありません。
❖競争に勝つために必要なチャレンジングな精神
例えば、教員という仕事、当然ですが毎年担当学生は違います。去年成功した授業を行えば必ず今年成功するわけではありません。学生が違いますから、理解を促すためには今年の学生に合った手法が必要です。でも、学生に合った授業を行うノウハウはこの世に存在しません。そのため今までの経験から仮説を立てて新たなことを考えるわけです。また、学生に選ばれる学校でなければ存続は難しいです。学校と言えども競争です。その競争に打ち勝つためには他校と差別化しなければなりません。今まであるノウハウを使って同じことを繰り返しても他校がそれを見て真似してきます。また、他校が開発した手法を取り入れただけでは差がつきません。つまり、新たなことにチャレンジするしかないのです。
皆さんは学生としてどのような学校へ行きたいと考えますか。毎年同じことを繰り返すだけのノウハウのみで運営されている学校。学生と共にチャレンジして高みを目指している学校。お客様の気持ちになれば、企業として「チャレンジングな精神」を持っているところの方が伸びる企業であることは自明の理です。
❖就職活動で見られるチャレンジ精神
就職試験ではその人の行動の傾向を見ます。上のようにムダと考える傾向がある人はまず合格しません。組織は何事もムダと考えずチャレンジする人しかいらないのです。正解のない仕事をするわけですから、何でもやってみないと分からないのです。ムダと考えてしまうと成功にたどり着けません。さらに、ムダと考える人は仕事ができないだけではなく、上司の指示に対してもムダとか思うことがあると判断されます。もし、皆さんに部下がいたとして、自分が考える仮説をもとに仕事を指示したとき、部下がムダと考えていたとしたら、その仕事成功すると思えますか。ムダと考える部下と一緒に仕事がしたいですか。
もし、ムダという気持ちがあるのであれば、社会人になる前に考えを変えてください。また、隠すのだけは絶対やめて下さい。そうしないと自分をふくめ組織全体が不幸になります。
チャレンジしてチャレンジしてチャレンジしてください。やってみると結構楽しいものですよ。