JOB. HUNTING.
TEXT. BOOK.
就職活動が
人を成長させる
「素直さ・主体性・協調性」
社会人としての考えを
創る活動が就職活動
そのために今できること
理念
The best way to predict your future is to create it.-Peter Drucker
未来を予測する最良の方法は、未来を創ることだピーター・ドラッカー
降ってくる未来を待つのではなく、自ら未来をつかみ取る。就職活動を行うにあたり最も大切なことはこの気持ちです。また、就職はゴールではないスタートです。就職の先にある未来を明確にイメージし、そこに向かって決してあきらめないことが将来の幸せを創ります。未来を創るためには未来を創り上げる考え方が重要となります。その考え方を研究し続けるゼミが「就活ゼミ:ジョブハンティングゼミナール」です。
幸せな将来を創ることに早すぎるということはないです。是非、このホームページを使って、将来を考えて欲しいと考えています。
6-8 志望動機の考え方①
なぜ、その業種を希望しているのか、なぜその職種を希望しているのか、その中でなぜその組織なのかこれを知りたくて聞くものが志望動機です。これは、その業種、職種、組織に対してのモチベーションと言い換えることができます。面接の中では、モチベーションのベクトルが、その組織が望む方向を向いているか、そのモチベーションが強いものか、そのモチベーションが行動につながっているか、の3点を見ます。それぞれ、具体的に解説します。
まず前提として、企業は社会に貢献することでその対価として売上があり、公務員は国民・県民・市民から依頼されて、国民・県民・市民が出資した税金で社会に貢献するものと考えます。そのため、社会に貢献したいというベクトルは最低必要なものになります。さらに、組織はその事業そのものや、成り立ち、歴史などで培ったそれぞれの価値観を持っています。その価値観に賛同し、その組織の価値観対して高いモチベーションを持つ人は組織に入った後、活躍してくれる可能性が高いです。これが、モチベーションのベクトルでそのベクトルの矢印が向かう先にはその組織の目的があります。自己PRの項でも同じことをお話ししましたが、企業もその目的を頂点として、目標があり、その下で組織員達が行動するのです。受験者が考える社会に貢献したいというモチベーション、組織の価値観に対するモチベーションの2つのベクトルが組織の求めるものと合致するかを見ます。
企業の価値観と言ってもなかなかピンと来ない方も多いのではないかと思いますので、少し価値観の例をあげてみます。皆さんは本田技研工業株式会社いう車のメーカーをご存知かと思いますが、このホンダの思想の根幹をなすものとして「ホンダフィロソフィー」というものがあります。
基本理念
「人間尊重」と「三つの喜び」(買う喜び・売る喜び・創る喜び)
社是
わたしたちは、地球的視野に立ち、世界中の顧客の満足のために、質の高い商品を適正な価格で供給することに全力を尽くす。
運営方針
・常に夢と若さを保つこと。
・理論とアイディアの時間を尊重すること。
・仕事を愛しコミュニケーションを大切にすること。
・調和のとれた仕事の流れを作りあげること。
・不断の研究と努力を忘れないこと。
ホンダフィロソフィーは、「人間尊重」「三つの喜び」からなる"基本理念"と、"社是""運営方針"で構成されています。ホンダフィロソフィーは、ホンダグループで働く従業員一人ひとりの価値観として共有されているだけではなく、行動や判断の基準となっており、まさに企業活動の基礎を成すものといえます。ホンダは「夢」を原動力とし、この価値観をベースにすべての企業活動を通じて、世界中のお客様や社会と喜びと感動を分かちあうことで、「存在を期待される企業」をめざして、チャレンジを続けていきます。<本田技研工業株式会社HPより引用>
このフィロソフィーがホンダのベクトルとなるのですが、これを証明する逸話があります。次にそれを見ていただきます。
ホンダが1970年にアメリカで施行されたマスキー法のCAA基準(排ガス規制の基準)をクリアする低排気エンジンとしCVCCエンジンを開発していたとき、本田宗一郎はこの法律に反対していたビックスリー打倒のチャンスと捉えた。しかし、ホンダの開発技術者たちは排気に含まれる大気汚染物質を減らし、子どもたちの未来に良い環境を残すために開発をするのだと、宗一郎の考え方に異を唱えた。彼らは競争に勝つことを開発の目的にするのではなく、自動車産業の社会的責任を果たすというより高い視点に立って開発に取り組んでいた。CVCCエンジンの開発を成功させることは、ホンダという一企業にとっても大きなメリットをもたらすが、開発技術者たちは、それ以上により大きな社会的な善(社会善)に自らの仕事の意義を見出していたのである。これを聞いた宗一郎は自分の狭い見方を恥じ大局的な見方を失いつつあると感じて引退の時期を悟ったという。<野中郁次郎ハーバードビジネスレビュー賢慮のリーダーより引用>
本田宗一郎氏は本田技研工業の創業者で名経営者と呼ばれた人ですが、この事件をきっかけに自ら引退を選んだそうです。企業の価値観(基本理念・社是・運営方針など)とはこれほど重いものなのです。当然のことですが、採用に当たってこの価値観と異なる人は採りません。逆に、この価値観と同じベクトルを持った人は是非欲しい人材となります。
面接の中ではその価値観のベクトルを見定めると同時に、そのベクトルに対するモチベーションが強いものか、そのモチベーションが行動につながっているかを確認します。自己PRであろうと志望動機であろうとフォーカスするのは行動です。何度もお話ししますが、考え方や意見はその場でどうとでも答えられるものです。
しかし、行動は実際に行ったことですから誤魔化すのは非常に難しいです。採用側は受験者の考え方や意見を聞いても意味がないと思っています。例えば、前に紹介させていただいた「上司と意見が食い違ったらあなたはどうしますか。」という質問には正解があります。「まずは上司の指示をしっかりと聴きます。さらに、理解できない部分を挙げ、それについて納得するまで上司に聴きます。上司の意見を納得した上で、もし、自分の意見を取り入れたほうが良い場合があれば進言しますが、基本的には上司の意見に従います。」と答えれば、大抵、面接評価表に○が付きます。たまに聞かれることがあるので、学生に面接対策として教えますが、考え方や意見は知っていれば答えられるもので、受験者の本心や本音は分かりません。(最近では聞く企業や組織もずいぶん減りましたが…)
受験者の考え方を知る聞き方は1つです。考え方を行動とセットで聞く方法です。どのように考え、その考えをもとに、どのように行動したかと聞いていくと、誤魔化しは効きません。行動にフォーカスするとはそういうことです。また、旧来然とした意見や考え方を聞くタイプ質問をする組織や面接官に対しても、行動と考え方がリンクしていると説得力が倍増します。もし、その業種や職種・組織に強いモチベーションがあったら、その仕事をもっと知るために行動すると思いませんか。仕事というものを真剣に考えていれば、志望業界や志望先を調べるはずです。調べる方法はきちんと考えれば、無数にあります。
講演会やボランティア・インターンシップ・ゼミ・アルバイトなど行動するフィールドは、そこかしこにころがっています。また、働くということを真剣に考えていれば、仕事に対して主体的に知ろうと思うはずです。行動することで知識も増え、深い知識の中、モチベーションも深まると思います。面接ではその主体性を見ていきます。面接練習で「この業界をどのように調べましたか。」の問いにインターネットで調べましたと言われると、失笑したくなり、残念な気持ちになるのは私だけでしょうか。
志望動機を考えるうえで大切なことは、働くモチベーションを持つこと、それをベースに業種・職種・組織へのモチベーションを持つことです。それには、志望先に対するモチベーションを実感するために行動することです。